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絶望を背負わせる


もう20年以上も前の話になる。


そこはインド。


私は大学の研修旅行でタイに行き、その続きでバックパッカーの体裁で有志達とインドに行った。


ヴァラナシ行きの列車のホームで、私と同い年位の女性がわたしに手を出してきた。


物乞いだ。


片目は潰れて真っ白く濁っている。

よく見ると、瘦せこけた赤子を片手で抱っこしている。

その子は腕がひん曲がっていた。


インドで出会った日本人によると、まだカースト制が色濃く残っているという。

ここで物乞いに産まれたら、代々物乞いになる。

物乞いの親は、子どもの実入りを多くさせてやるため、まだ物心のつく前の幼少の時期に

身体に傷を負わせる。


その傷はひどければひどい程、実入りはよくなるという。



【 少女01 】 100cm 2009年





私は、傷のあるものを愛おしく感じます。



それは

事故で負った傷かもしれない

スポーツで負った傷かもしれない

病気で負った傷かもしれない


愛を失って

差別を受けて

父と母が不仲で

大切な人がいなくなって

人から横暴な扱いを受けて


どんなヒトだって傷を負っている

その傷が大きければ大きい程、壮絶な景色が流れているんだろうと

わたしは感じます。



私は、わたしの創る作品に絶望を背負わせます。



その抱えている絶望は、今は傷にしかみえないけれど、


やがて、未来につながる象徴になるのだからと。




 発想の始まりは、ブラック・バレリーナ(黒人のバレリーナ) もし宇宙人の女の子が地球上のバレリーナになる夢を持ってしまったら
【 DREAM OF THE ALIEN 】 134cm 2007年 発想の始まりは、ブラック・バレリーナ(黒人のバレリーナ) もし宇宙人の女の子が地球上のバレリーナになる夢を持ってしまったら




さて、インドの話し



高校の頃、歴史の教科書でなんて美しいんだろうと恋に焦がれたタージマハル。


実際に行ってみて、心底幻滅した。

とにかく人が群がっていて、建造物が全く見えてこない。

ただ肉体のかたまりが、グロテスクに絡み合っているイメージ。


それが今、コロナで人がいないという。


ヒトのいないタージマハルは、美しいでしょうね



そこは、愛する女性の霊廟ですから







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